七夕

もう一生あわないと思っていた女の子から連絡が来た。

小学校の同窓会をするんだけど来れますかという連絡だった。

誰がくるのか聞いてから参加するか決めたかったけど、

くる人次第で参加を決めるような人間だと思われたくなくて

すぐに「いく」と返事をした。

 

  

そこに初恋の人がいた。

寒い雨の日にぶかぶかのパーカーを貸してくれたこと

同じ塾で自習室を出る時間を合わせて一緒にかえったこと

友達が彼と2人で帰った話を聞いて枕に顔を埋めて泣いたこと

少ししか思い出せないけど

小さな体でたしかに恋をしていたことを覚えている。

 

最後の帰り道に

「俺の好きな人知ってる?お前だよ!」といわれて走り去られてから

一度も会わないまま大人になった。

 

顔が変わらないまま大人になっていて

だけど全く知らない人みたいだった

これまでどんなふうに生きてきたのか

 知りたいことはたくさんあったのに、

いざ目の前に現れると全然聞けなかった。

 

 

言いたいことはたくさんあったから、言ってやった。

わたしも好きだったんだよ。知ってたと思うけど。

 

七夕生まれの彼を、もう思い出さなくてすむ。