愛の話

 

最近は気づいたらCharaを聴いているし、すぐに泣きたい気分になってしまう。空をみるだけで、あの日なにも言わずに手を引かれて小さな屋根の下に入った途端、スコールが降り出したことを思い出す。この人といっしょにいたら、わたしにはもう雨が降らないんじゃないかと不安になる。お気に入りの傘を買ったばかりなのに。

 

3のつく日は彼が住んでいる銭湯が休みになる。プレステにダウンロードしたぷよぷよで私が16連敗していたときに「風呂行きたくない?」と聞かれた。この間もそうだった。風呂屋に住んでいるくせに、いつも風呂を求めている。

これから車を借りて出たらもう22時になっちゃうね、さすがに疲れるか。と言いながらマップを見ていると800m先に銭湯があった。自転車のカゴにシャンプーとリンスとボディーソープを入れて、タオルを持って家を出た。私は彼に借りたよれよれのTシャツをきて、これで歩いてたら変じゃない?と心配をする。大丈夫、ここじゃ誰も気にしてないと言いながら、彼は青いストライプのパジャマで歩いている。

 

「いい生活だよね」

湯冷めしないように、と頭にタオルを巻きつけたマヌケな格好で彼はそういった。そうだね、本当にそうだと思うよ。わたしは君の生活が好き。あれ、なんか前もこんなこと言った気がするな。

 

「愛されるということがよくわからない」といったわたしがあまりに可哀想で、正義感の強い彼はその役を買ってくれた。愛され方も愛し方もよくわからなくて、時々すごく悲しませてしまうけれど少しずつわかってきた気がするよ。これまでひねくれたラヴソングばかり聴いていたのに、 Apple MusicでBEST LOVE SONGSのプレイリストなんて聴くようになっちゃって自分でも驚いている。

 

わたしは時々「最高になりたい」と怒る。彼はほんとうに興味がなさそうに「最高じゃん」というからわたしはまた怒る。

 いいかい、最高というのはね、たとえ君を怒らせてしまったとしても、おちゃめな表情や突飛な言葉で空気をさらりと変えてしまうような彼女のことよ。あと、白いTシャツが似合うこと。

 

 

おやすみ